水曜日, 11月 11, 2009

遠く 遠くに
車の
走り去る音
蓼の花
揺れ
星空の中に
落ちていきそうで
足を踏ん張ってみる
アナタノトコロヘハ
マダイケナイ
心から
零れ落ちる
蒼い雨
光を失った
時間の欠片

水曜日, 11月 04, 2009

透きとおった空が
生きろというから
もうすこしだけ
生きてみようか
霜柱が光る
遠く遠くに
車の
走り去る音
蓼の花
揺れ

ちいさな思い出

烏帽子岩を
眺めながら
歩く砂浜は
幸せな頃と
なにが違う


切通しにて
ふと立ち止まる
蜥蜴が通り過ぎる
そんな小さな思い出ばかりが
日向ぼっこの友となり
愛しているよと
ささやきながら
私の中の誠実を
影も残さず
喰いつくす
君の心の暗闇に
そっと寄り添う
私の中の暗闇と
溶けて流れて
消えるまで

水曜日, 10月 28, 2009

無といった瞬間、あるのだろうか

宇宙の無限と
海の無限と
肉体の無限と
心の無限と
ないものの無限と

秋なのに…

桜色の
この肌
きみの
ゆびが
染めた

火曜日, 10月 27, 2009

寒いから
ひとつになって
眠りたい
君の背に
口づける

木曜日, 7月 02, 2009

飽きもせず
瞬きもせず
見つめあい
髄液までも
瞳で舐める

月曜日, 6月 22, 2009

夢とうつつと

洞窟の中に隠れてみる
誰も私を
思い出さない
誰か私を
思い出して


そっと
君の背中に
くちづける
もいちど
愛してほしいから


黄色い
花が
咲いている
あなたはもう
いないのに


さびしい
なんて言葉を
思い出せない
そのくらい
さびしい

月曜日, 6月 08, 2009

さびしさ

いだきあい
まじわりあい
いとしみあっても
ひとりの
よる


空が溶けて
海になり
私は
溶けて
砂になる


目を閉じて
冷たい枕に
触れてみる
君の思い出
置いてみる


幾度
電車を
乗り継いでも
たどり着くことの
できない恋

金曜日, 5月 29, 2009

心象

目を据えて
言葉を
飲み込み
私の中の
塊に問う

塊<かたまり>

苦しみ

苦しみを
文字にしたとて
なんになろ
ましてや声に
乗せたとて

田園にて

田園に
水鏡の
増える頃
畔に見守る男らの
広い背中


やまなみが
空に溶け出すように
天と地が
ひとつになる
曇天の日

幸せ

覚めていく
感覚をも
昇華させる
貪欲な
皮膚の内側


重なる吐息
交わる唾液
肉体さえも
熔け崩れて
熱塊と化す


火照った
肌が
君を誘う
暗闇よりも
暗いところへ


漏れた声も
濡れた体も
世の中の
誰よりも
幸いである証


この恍惚は
ふしあわせの
うえにあり
砂のうえの
楼閣であり

水曜日, 5月 20, 2009

手のひらに
這う青虫の
冷たさを
優しい生き方と
解釈してみる
ふたりが狂った
そのあとの
指絡ませたまま
落ちる
眠り

金曜日, 5月 08, 2009

壊れた心

身も心も
砕け散り
放散した
記憶さえ
艶やかに


その精気を
吸いつくし
この身を
燃焼させんと
蛇になりて

蛇<へび>

木曜日, 5月 07, 2009

心象

しどけない心の
かたすみに
巣くった
言葉の
ひとつに迷う

恋のうた(2009.5.6~7)

この腕を
この手を
つかんで
はなさず
死へ誘い

誘い<いざない>


どんな女も
魔性と化す
その瞬間に
知性さえも
燃え尽きて


手と手を
つないだまま
深い寝息をたてる
いつまでも
君が好き

火曜日, 4月 28, 2009

愛という文字の入った歌2009.1.21~28

愛していると
言葉にしている時ではなく
愛していると
忘れるくらい大切に思う時
真に愛している


愛していると
口にした瞬間
愛が逃げていく
言えば言うほど
嘘になる


大切に大切にと
思う心が愛
己を 
世界を
まず愛してみる


消えてしまった
愛をさがして
探しまわって
途方にくれて
眠る枕の涙

愛という文字の入った歌2008.11.13~

愛している
などいう感情の
虚しく哀しく
響くとき
ただそっと抱きしめて


指相撲をして
戯れあう
老いた夫婦の
悲しみ苦しみ
乗り越えた愛


膝の上に
猫がいるから
あなたとは
遊べない
愛している

愛という文字の入った歌2008.11.4~

君に添いて
海に入ろう
愛の深さを
海の深さと
比べるため


愛という感情を
忘れ老いて
ゆくよりも
枯れ木に火をつけ
燃え尽きん


すこしずつ
壊れていく
ひとつまたひとつ
愛などという言葉
囁くたびに

愛という文字の入った歌2008.10.24~

溶け出した愛を
受けとめたくも
あふれ
こぼれて
途方にくれる


君が精神を
破壊した
時とともに
巨大化した
この愛で


胸の高鳴りは
初めての逢瀬
この穏やかな
息遣いとなり
終わりなき愛

愛という文字の入った歌2008.10.17~

溶鉱炉の中に
放り投げられた
憎しみが
この掌のなかの
愛になり


愛しているよ
愛しているよ
ささやきながら
食い尽くす



凍りついた心を
溶かすのに
かけた時間が
そのまま二人の
愛の軌跡

愛という文字の入った歌2008.9.24~

愛は
結果なのかもしれないと
そばに眠る人の
寝顔をみては
考える


縁側に
眠る猫
柔かな
陽射し
そんな愛


そこここに
溢れる愛に
気づかずに
流れた時間
拾い集めて

愛という文字の入った歌2008.9.20~

遠く遠く
離れていても
あなたの息を
感じる 


いつまでも
変わらぬ愛を
ふたりで育てた
ふたりが育てた
変わらぬものに


不変の愛なぞ
あろうはずもないと
頑なな若かりしころ
老いの床に ひとつ
恥ずかしそうに横たわる

生きる

苦しむ
君を
抱きしめる
ただ黙って
抱きしめる

さびしさ

いだきあい
まじわりあい
いとしみあっても
ひとりの
よる

木曜日, 4月 02, 2009

まくろい空に
ぽっかりあいた
まるい穴
向こうの空は
どんな色


もう私を
追わないで
そんなに私を
見つめないで
白い月


紫色の朝の空
西に残る
白い月
白いままで
稜線に落ち


川面に映る
月が
波うち
どこまでも
流れていく

海綿体で
できた
からだが
月の光を
吸込んで


月が
やけに
冷たくて
思わず君に
しがみつく


夜空に浮かぶ
ゆりかごで
寝てみたいと
だだをこねる
清らかな眼

月(2008.11~)

凍りつく
月の光を
身に纏い
君の前に
蒼く跪き


ゆうべの
上弦の月
あなたの
目のよう 冷たくて


月のない夜に
この道を歩く
あてもなく
悲しくもなく
音もなく

さびしさ(~2009.3)

深々と
雪が降り
心の中に
雪が積り
真白き闇


泣きたくて
駅のトイレ
ドアの外の
青春談義は
知らない世界

さびしさ(2009.2~)

部屋の
片隅に
置き忘れられた
手袋を
握りしめて泣く


川が流れ
風が流れ
雲が流れ
時が流れ
涙が流れ



風がもたらす
音だけが
クリーム色の
部屋に流れる
鼓動さえもなく

花(~2009.3)

梅の香に
酔う
このまま
花の中に
溶けてしまおう


北風と
太陽と
手を組み
開く
花蕾



つぎつぎと
さきみだれ
ほんのりと
空も恥らい


梅の木を
揺らす
ひよどりの
つがいであるを
思い出し

さよならの
文字を
何百回
書いたろう
花が散るたびに


花蜜で
満たされた
からだの中は
木枯らし吹いても
あたたかい


からからに
乾いたブーケの
花びらを
手で握り潰して
次へ進む

そばにいて
さびしいの
花をあげる
だから
いかないで


白い花を
摘んできた
その指先の
花の香を
そっと嗅ぐ


青い花を
可憐だと
手に取る
その手を
払いのけ

赤く揺れる
薔薇の花に
閉ざした心が
入り込み
残る指輪


刺々しい
心の中の
薔薇一輪
叫び狂いて
投げつけん


赤い薔薇は
花びらちぎりて
食らうもの
棘でおまえを
傷つけるもの

青き部屋に
花一輪
揺れている
風もないのに
ゆうらりと


台所の流しに
花びらちぎりて
涙と流す
飛び散る軌跡
かき消された嗚咽


冷たき花を
くちびるに
寄せてなお
消えるものか
心の疼き

花(2008.9~)

だれよりも
うつくしく
あでやかに
あらんとす
天向く花芯


揺れる
揺れる
花のまわりで
わたしが
揺れる


金木犀の
香りがするのに
姿が見えない
探しとまどう
恋するように

恋愛歌(~2009.3)

お願い行かないでと
言わせた
女の
伏し目がちな
喜び


恋をした
あの日を
返してと
日記帳を
火にくべ


桜を見て
歩いていたら
二人同時に
つまずき笑う
そんな恋

雨の日は
猫を抱いて
泣く日です
あした笑顔に
なるために

恋愛歌

緩やかに
春がきて
もう一度
あなたに
恋をする


指切りをした
あの時をまだ
忘れないのに
どんな約束か
忘れたふたり


また
おなじこと
考えている
同じ言葉で
考えている

恋愛歌

いつも一緒
わかってるのに
確かめたいの
目があうたびに
触れあうたびに


くちびるから
くちびるが
はなれるとき
あじわう
充実感


あなたの
腋の下に
頭をすっぽり
ここが私の
居場所なの

恋愛歌(2008.11~)

青い空に
放散して
跡形もない
ひとつの
終わり


紅を引く
君の眼に
触れてほしくて
君の口に
近づきたくて


紅を拭く
君の眼に
触れぬように
君の頬に
触れるために

春(2009.2~)

山がほんのり
色づいて
今年も
春が
やってくる


耕す
土の
温もりと
香りを運ぶ
春の風

桜を詠む(~2009.3)

朝ごとに
変わりゆく
色あいに
妖しい恋を
秘める桜


満開の桜の下を
ゆるりと歩く
少女たち
大人びた話さえ
桜色に染まり
春霞み
乙女の
黒髪に
ひらり
花びら


墨絵のなかの
桜花
風に散りても
永久に
とどまり

桜花<さくらばな>永久に<とわに>


春の雪
降る
桜の花に
降っては消え
降っては散り

桜を詠む(2008.12~)

小雪舞う
街道の
桜木に
花咲いて
春を想う


猫の背のように
寒空のなかで
まるく凍える
桜のつぼみ
咲くときを待ち


日々
移ろいゆく
桜木の姿
今日の色を
恋す

心象(~2009.3.31)

唐突な
別れの言葉が
どこまでも
青い空に
染み渡る


絶えることなく
流れ落ちる滝を
絶やすものかと
根を張る木々よ
赦してよ人間を


臓物を
もつものの
しあわせを
美しきなりで
嗤うミジンコ


言の葉を
玩びつつ
己を癒す
己の膿を
言に晒す

心象

夜明け前の烏が
二羽三羽
蒼い静寂を
破って
飛んだ


淡い琥珀の葡萄酒が
ほんのり薔薇色に
映るまで
見つめあっていたい
春の午後


生きるという字を
百万遍も
書きなぐり
それでも時に
線路を見つめ

心象

空に浮かぶ雲が
白い塊ではないことを
知ったときの
幼なき悲しみ
いまだ抱えて


もとめあうことを
あまえとみなし
すべてとのかかわりを
こばみつづけたあげくの
孤独


私の中に
蠢くものから
のがれることができぬので
このからだを
裏返してみる

心象

朝日のあたる
海の上のこの道は
私だけの道
あなたの見る道とは
少しだけずれている


苦しくて
こそこそと
逃げだす
松の実ほどの
勇気をかかえ


鯛焼きの
温もりを
両の手で
包みつつ
見上げる空

心象

苦しくて 空を見上げる 星の瞬きは 素知らぬ顔で 遠くのまま


雨空に 落ちていくよう 吸い込まれていくよう 足もとには何もなくなり 重力さえもなくなってしまい


ゆらゆらと ゆらぐ心の なかにある 熾火は誰も 消せはしまい

心象

積み上げてきた
時間が
崩れ散乱しても
消えることのない
軌跡


いくつもの
儚い夢をみた
その中の
たった一つの
夢にすぎない


埋み火を
埋み火のまま
誰知ることなく
燃え尽きるまで
まさぐりもせず

心象(病室にて)

網戸越しに 月を眺める ビルの上の 僅かな空間 星などなく


真っ黒な ビルとビルの あいだから 一センチメートルの 朝陽が燃える


茜色の夕焼けが 最後まで 茜色のまま 暗闇になればと 願いつつ

心象

生きたいと
叫ぶ声を
背中に
黙々と
己を生きる


五線譜に
収まり切れない
音符たち
ふわりと浮いて
地に落ちて


からだが
どんどん
軽くなり
どこまで
流れていくのやら

心象

夕焼け空に
手を伸ばす
光に包んで
連れていってよ
あの人のもとへ


枯葉舞い
舞い落ちて
土になるか
灰となるか
ああ人とて


漆黒のなかにも
わたしはいる
意識の中に
言葉が生れた
瞬間から

心象

月光を
浴びて
佇む
蒼い
背中


水墨画の如き
景色
裂き
鉄の
塊が走り去る


どんな言葉も
聞きあきたろうから
私は黙って
ここにいる
泣いてていいよ

心象

枕の下を流れる
二人の過去を
夜通し眺めて
飽きもせず
堰きとめもせず


三日月の陰は
夜空に溶けて流れても
大気に青く溶け出しても
なお月であることから
のがれられない


空の
色は
濃くなるほどに
空(くう)
となり

心象

零れ砕ける
飛沫のように
地に届かぬ
滝のように
我が軌跡


秋色の
百貨店
行き交う
女たちの
無表情


漆黒の世
言葉は放散し
意志もなく
肉体は分子となりて
宙を漂う

心象(2008.10.13~)

言の葉が
はじけ散り
光のない
漆黒
時が失せる


だいだいいろの
ひかりのなかで
わたしとあなた
くちづけかわし
とけてながれる


砂の城を
つくりて
こわす
波に依らず
己が手で

水曜日, 4月 01, 2009

生きる

去年から今年にかけて、心も体も、辛いことがたくさんありました。

でも、死への願望から解き放たれた、そういう時期でもありました。
しかし生きたいと願いつつも、生への執着はあまりなく、むしろ、素直な気持ちで受け入れることができそうな気もします。

次は、どれを公開しようかな…

生きる(2008.10~2009.3)

朝が来た
来てしまったと
嘆きつつ
手帳に書き込む
明日からの予定


もう少しだけ
生きていたい
生きていても
良いですかと
滝に手を合し

生きる

自問自答は
苦しいだけだから
あなたの存在が
必要なのです
手を握り


生きていることが
苦しいとき
言葉を
全部
捨ててみた


辛いという
言葉があるから
辛いのだからと
辛いを嬉しと
解釈してみる

生きる

ひとりきり
ひとりっきりの
ひとがいた
居間に寛ぐ
娘を抱きしめる


空を見た
我が不幸せの
なんと軽いこと
水蒸気になりて
雲にさえ届かぬ


楽しみながら
歩く
楽して
歩く
似て異なる歩み

生きる

幸せについて
考える
野の花をみて
空の色をみて
我が姿をみて


いま在ることの
しあわせを
かみしめながら
味噌を
溶く


ひと足ずつを
命がけの
人がいる
我が足をみて
立ち止まる

生きる(年末年始の、一番苦しかったころ)

海の向こうの
お陽さままで
道ができたから
歩いて行こうよ
そっと手を引き


窓辺の猫の
背を撫でて
通りゆく人
眺めている
暮れるまで


生きていて
良かったと
きっと思う
その日まで
生きてみる

生きる(入院していたとき・3)

すう十年の
よろこびも
かなしみも
みな吐き出して
もいちど生きる


二重に
三重に
己を
縛りつけながら
それでも生きる


炊きたての
白いご飯と
お味噌汁
行き交う箸と
笑い声

生きる(入院していたとき・2)

痛くても
元気と言う
苦しくても
にこやかに笑む
いけない習慣

生きる(入院していたとき・1)

思想家の
何百冊の
書物より
重かった
君のひとこと


苦しいまま
そのまま
死んでしまったら
明日出会うはずの
喜び逃す


ひとつだけ
やり残したことがある
ああ
もうひとつ
やり残したことがある

生きる(2008.10~2009.3)

迷いながら
躓きながら
佇みながら
膝を抱えて
泣きながら


空を眺め
海を感じ
あしたも
朝が来る
そう信じ


死んじゃ駄目
というから
生きてきた
恨みもしたけれど
感謝もしている

官能歌いろいろ

2009年1月から3月まで、3ヶ月間に作った歌です。

歌を作るのに要する時間、平均10分。
細かい推敲もせぬまま、点検もせぬまま、置いてありました。
もう少し時間が経って
時間と心に余裕ができたら、少しずつ手直しをしていきたいと思います。

今、ここに移動しながら歌を眺めて、なんと駄作の多いこと。恥ずかしいです。でも、素直な気持ちで書いているから、続いているのかもしれません。次は、「生」をテーマにした歌です。
指と指を
絡ませて
私の中の
余韻を
遊ぶ


このからだの
すみずみまで
しりつくして
食みつくして
なおむさぼり


満開の桜木の下
君の前に
跪き
愛を
乞う
黒の嫉妬が
私の中で
蠢きながら
膣の奥まで
喰いつくし


私の知らない
私を見ている
あなたの視線
あなたの指先
あなたの愛


愛だとか
嫉妬など
言葉もすべて
昇華して
絡み合い
私の中で
夢を見る
君の髪の
香りに
酔う


雪の降る
夜の抱擁
喘ぎ声も
白い闇に
消え入る


君と
獣に
なるときの
熱も
冷め
ダウンライトに
浮かび上がる
その目を見つめ
瞳の中の
己に酔い


彼方に
流れる
旋律が
陶酔に
火をつける


真白き
木炭の

澄み渡る
恍惚
その
唇が
幸せな
女を
創りあげる


ヨナカーンの如く
薄く冷たい唇に
私の燃える唇を
重ねて溶かす
我が生さえも


暗闇に
唇ふたつ
舞い狂う
流れる唾液
流れるままに
抱きしめて
血が
吹き出るほど
きつく
強く


恍惚のあとの
愛情が
ふたりを
幸せの中に
陥れ


憎しみから
始まったと
囁きながら
攻め続ける
狂った大蛇
声が
洩れる
襖の陰
微かに
揺れ


羞恥心てなに?
女が問う
なくて良いもの
男が言う
枕が床に落ち


くびすじの
痙攣と
ひとすじの
涙が
媚薬となり
私の中で
眠るあなたの
耳を
そっと
噛んでみる


極彩色の
曼荼羅を
ふたりの
背に描く
汗と色で


冷めてしまった
わたしのなかに
それでもあなたは
はいってくる
炎のまなざしで

官能

どこまでも
落ちていく
背中に爪を
食い込ませ
粘液に塗れ



つま先の
力が抜けた
ときから
愛が
始まる



蒼い光の中で
見つめあう
お互いの
狂おしい瞳
犯しつつ
どこまでも
落ちていく
背中に爪を
食い込ませ
粘液に塗れ


つま先の
力が抜けた
ときから
愛が
始まる


蒼い光の中で
見つめあう
お互いの
狂おしい瞳
犯しつつ
そっと
我が臍に
釣り針を
垂れる人
嗚冷たい


逢わぬ時こそ
お互いの臓を
膨張させ
お互いの臓を
弾いては悦び


膝っ小僧を
擦りむきながら
愛してくれた
海の見える
部屋
しあわせと
くちにする
その時だけの
しあわせを
もとめる人


体中の
粘膜に
花蜜の
匂いが
浸み込むまで


黒い
嫉妬が
からだの芯を
執念く
貫く
心までが
ひとつになってしまった
からだがはなれていても
どんなにはなれていても
いつも私は抱かれている


熱く
絡み合い
燃えながら
なお
凍える指


ドアの鍵を
カチと締め
その瞬間に
燃え上がる
ふたつの体

五行歌を公開します

しばらくの間、今まで作った歌の中の、官能歌を公開します。
そのあと、徐々にそのほかのテーマの歌もここに公開していきたいと思います。

お楽しみいただけましたら、コメントをくださいませ。