水曜日, 9月 06, 2006

夏の終わり

涙が
出てこない

泣きたいのに
悲しいのに

道端に捨てた男の
惨めな歩みを
ルームミラーで
一瞥し
走り去った

いつもは引き返す
何度も引き返しては
また、始まった

もう戻れない
戻りたくても
あたしが悪かったのと
ひざまずいても

男を だめにした
虫けらを 踏み潰すような
ひどい仕打ちを

さいごのおとこ

水曜日, 6月 28, 2006

正直に生きること

赤い部屋にともす明かりは
青い色では なりませぬ

青い明かりに写る姿は
真のものではありませぬ

真の明かりに写る姿に
悲しい汚れを確かめて

途方にくれて 泣くのです
陽射しに打たれ打ちひしがれ

もう戻れぬ 赤い部屋
明かりはだいだいにしたという

明かりは黄いに変えておくれ
けれどももう戻りはしない

水曜日, 6月 21, 2006

別れ

何十回もの別れを
何十回もの出会いを
二人は繰り返して

結局は駄目なケースよね
縁のない縁で繋がっているだけなのさ

何もない場所に
何も持たぬ恋人達が
何かを積み上げようと
焦り試み繰り返す

徒労に終わるのよ
何もないところには何も生まれない

永遠に続く別れ
永遠に繰り返される出会い

何もない出会い

水曜日, 6月 14, 2006

白い影

うす暗闇に
浮かび上がる白い花
遠くの光を
身に纏い
不気味に揺れる

真っ暗闇に
何も見えない
触れることで
白い花びらを
感じる指

光あふれる
草原で目を閉じ
闇を感じる
目の中でさえ
闇にあらず

日曜日, 6月 04, 2006

しあわせ

しあわせに慣れていないから
しあわせがへたなの
ぎこちなさと有頂天が
まぜこぜになって
壊れていく

しあわせになってもいいよねえ
しあわせがへたでも
よろこびと淋しさが
まぜこぜになって
壊れていく

金曜日, 6月 02, 2006

悲しい言葉

あなたが好きよと
何度言っても
届かない 届くはずがない
あなたが好きではないから
好きの気持ちがわからないのよ

お可哀想にと
どんな風に言えば
相手に届く 届かないよ
心底お可哀想なら
言葉に出来ないものでしょう

言葉にすればするほど
淋しくなり
言葉だけが虚しく響いて
心がついていけない
魚になりたい

月曜日, 5月 29, 2006

空虚

虚しい言葉が 空に舞う
背中の震えが 地に響く
心など 心など 持つまい
大楠の幹に 嘔吐
消えうせて 灰に

束縛

あなたが あたしを しばる
あたしが あなたを しばる
きつくなるほどに かなしく
ゆるむたびに こころぼそく
あたしが あたしを しばる

火曜日, 5月 23, 2006

宇宙

あたしのからだを 
うらにかえすと
まっくらやみの
せかいがひろがる

無数のひだひだに
ふれるたび
まっくらやみに
すいこまれていく

あたしのなかが
ふくれるたびに
星ゆれながる
おともなく

しあわせ

しあわせな痛みが
からだのなかをつきぬける
深紅の毛布を
剥ぎ取り
揺れる窓

水から躍り出た
魚たちがのたうちまわる
濡れた毛布に
時も忘れ
飽くこともなく

日曜日, 5月 21, 2006

どこまで

空が透きとおり
心とからだが
空の向こうに
吸い込まれていく
光のなくなるところまで

猫を枕に

風薫る 猫を枕に うたた寝す


猫枕 若葉いちまい 舞い降りて


遠い雲 まねた姿で ねこまくら

見知らぬ蝶

見知らぬ模様の蝶が飛ぶ
黒と薄茶が空を舞う

どこから来てどこへ行く
どの花の香りに誘われた

とはいえ知らぬは我ひとり
素性は知らずにしまいたい

見知らぬ模様の蝶が飛ぶ
私だけの蝶が飛ぶ

そよ風と

抜けるような青い空に 吸い込まれてしまいたい

風にのって 

光の届かぬところまで

心だけ

なくなってしまいたい

そよ風の中で

そよかぜと ねこをまくらに うたたねす


猫枕 若葉のくちづけ 気もつかぬ


遠い雲 まねて流れる ねこまくら

そよ風に

そよかぜに ふかれておもう とおいひと